電子化とデジタル化って違うの?
使い分けているような、「同じ意味でしょ?」と捉えているような、人によって解釈・理解が異なるように思いますので、ここで考えてみたいと思います。
電子化とは
『電子化』=『〇〇を電子に変える』と読むと分かりやすいように思います。「〇〇」に「書類」を入れると『書類を電子に変える』となりますね。

筆者、JIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)の文書情報管理士という資格を持っているのですが、参考書がいくつかありましてその中でズバリ解説されています。
電子化文書、スキャン文書とは:
JIS Z 6015:2016「文書情報マネジメント用語」より
スキャナなどの文書読取装置を利用して書面を画像情報として電子化した文書情報
要するに、紙などに記録されたオリジナルの文書があって、それをPCで扱えるように電子的なフォーマットに変換したものが「電子化」文書ということになります。
※画像情報という表現が気になった方、後ほど触れてまいりますので読み進んでください。
電子化文書と電子文書
電子化文書は分かりました。では、電子文書とどう違うのでしょうか。
電子文書は電子『化』されたものではなく、最初から電子フォーマットの文書ということになるので、PCを使いオフィスソフトなどで作られた文書ということになります。マイクロソフトワードで作れば「文書.docx」などの拡張子が付いた電子フォーマットということですね。
勘の良い方はここでピンと来ていらっしゃると思います。そうです。電子化文書は画像情報なので、テキストデータをコピーして他のアプリケーションで利用するということができません。テキストを抽出するには、AI-OCRなどの仕組みに頼る必要があります。
対して、電子文書は再利用や転用などが容易です。『ボーンデジタル』と表現されることもあり、最初からデジタルなのでPCで圧倒的に使いやすいはずです。
ところで、コンサルティングの中で「一元管理のために電子化文書、要するに文書スキャンを行いたい」というご希望をよく伺うのですが、費やす作業時間(BPO業者等へ外注する場合には費やすコスト)に見合う効果が出るかどうか慎重に検討されることを薦めています。(これにはいくつか折衷案もあるのですがここでは割愛)
検索だけなら補完的な方法もありコスト重視で、一元管理にバリュー(ビジネスメリット)があるなら電子化文書へチャレンジしていきます。後者は、契約書など一元管理するメリットが大きい場合のアプローチです。
他に後者の例としては(上から順に):
①請求書
②領収書
③納品書
などがケースとして多いかと思います。
電子化とデジタル化
長くなりました・・。
受け取った請求書を電子化するというのとデジタル化するというのはほぼ同じ意味で相手に伝わると思いますが、(a)稟議を電子化、(b)稟議をデジタル化といったらいかがでしょうか。
デジタル化は少し範囲が広くて、PCやクラウドを利用して〇〇する、というニュアンスが大きく出て来るように思います。(a)では書面、すなわち稟議書を電子化するとのニュアンスが多め、(b)では稟議フローをデジタル化、要するに電子ワークフローを導入するとのイメージが強く出てくるように思うのですが皆様いかがでしょうか。
明確な結論をお求めになられた方には申し訳ありません。対象によりますが、当方のDXコンサルにおいては大体同じ意味で使っています。Google翻訳によると電子化は「electronicization」、デジタル化は「digitalization」というご指南でした。
ただし、『DX請負人』においてはデジタル化を『Digital Transformation』と積極的に読み替えていきますので、電子化という言い回しが多めになるかと思います。